薬師如来

薬師如来さまとは、正式名を薬師瑠璃光如来(やくしるりこうにょらい)といい、左手に薬壺を持ち、病気などから人々を守り、心身を健康へと救う佛さまとして広く知られています。

薬師如来さまは、修行時代に「十二の大願」を発して、将来、自 分が悟りを得たときには、すべての人々を迷いや苦しみの闇から救い、真の悟りに導きたいという誓いを立てられました。十二の大願の中には「病気の災いを除き安楽を与える」というものもあり、特に第6、第7の大願は、「衆病を悉く除き、身心を安楽せしめん」という薬師如来の特徴がもっともよく表われています。

 

 

 

一、 光明普(こうみょうふ)照(しょう) … 自らの光で三千世界を照らし、あまねく衆生を悟りに導きたい。

二、 随意(ずいい)成(じょう)弁(べん) … 仏教七宝の一つである瑠璃の光を通じて仏性を目覚めさせたい。

三、 施(せ)無尽仏(むじんぶつ) … 仏性を持つ者たちが悟りを得るために欲する、あらゆる物品を施したい。

四、 安心(あんしん)大乗(だいじょう) … 世の外道を正し、衆生を仏道へと導きたい。

五、 具(ぐ)戒(かい)清浄(しょうじょう) … 戒律を破ってしまった者をも戒律を守れるよう援けたい。

六、 諸根(しょこん)具足(ぐそく) … 生まれつきの障碍・病気・身体的苦痛を癒やしたい。

七、 除病(じょびょう)安楽(あんらく) … 困窮や苦悩を除き払えるよう援けたい。

八、 転女(てんにょ)得仏(とくぶつ) … 立場の弱い女性が成仏するように援けたい。

九、 安心(あんしん)正(しょう)見(けん) … 一切の精神的苦痛や煩悩を浄化できるよう援けたい。

十、 苦悩(くのう)解脱(げだつ) … 重圧に苦しむ衆生が解き放たれるべく援けたい。

十一、飲食(おんじき)安楽(あんらく) … 著しい餓えと渇きに晒された衆生の苦しみを取り除きたい。

十二、美衣(みえ)満足(まんぞく) … 困窮して寒さや虫刺されに悩まされる衆生に衣類を施したい。

注目は第七願の「除病安楽」。薬師如来さまが立てた十二大願のうち、注目したい願いが第七願である「除病安楽」。人々を困窮や苦悩からたすけるという、この願いを果たしたことが「医薬を司る仏」となった理由だとされています。この他の大願からも、常に人々の心身の苦しみを解くことを祈念していることがわかります。

薬師如来さまのご利益は「現世利益」として生きている間に受けられるとされています。たすけられる時は「今」であり「未来」ではないことが、他の仏さまのご利益との違いです。

得られるご利益としては、

病気治癒  健康長寿  安産祈願などがあります。

また、左手に持っている薬壺には「その人が望むもの」が入っているとされています。

薬師如来さまが持っている薬壺には、人々が求めているものが入っていると言われています。どんな苦しみや苦難をも光に変える薬は、求める人により異なります。同じ人でも、救いを求める時々で入っているものが違うため、薬師如来さまはいつどんな時でも救いを差し伸べてくれるといえます。

 現在、ストレス社会や疫病流行、災害等による心的被害、戦争による心的被害など多方面にわたって病気社会といわれている世界情勢です。薬師如来さまは、多方面にわたって受けてきたであろう私たちの身体・心体を救ってくださる佛さまなのです。