この『事理供養御書』というご遺文は、信徒からのお供え物に対しての日蓮大聖人さまからのお礼状です。
財(宝)のなかで≪いのち≫こそが、一番であると示されたものです。
日蓮大聖人さまは、「人として正しく生きる」という≪志し≫を立てることが大切だとされ、
私たちがこの教えを信じたとき、生活や営みのすべては仏さまの教えの世界になると示されました。
月を見て美しく感じ、花を愛でて気持ちがなごむのは、私たちの心がそれらと呼応するからです。
すなわち、私たちの心にはすでに月は美しいもの、花は愛らしいものと感じる清らかな心があるからです。
しかし、私たちは忙しい生活を送るうちに、知らず知らずのうちに和やかさや穏やかさを失い、
美しく清らかな心の存在を忘れてしまいがちです。
そんな時、一呼吸し、間をとり合掌し、ありがたいと感謝の心を思えば、
あなたの心の奥にしまわれている月や花を呼び起こし、
私たちが持つ本当の心を呼び起こし、取り戻すことができるのです。
平成27年9月1日