「今までは人のことだと思ふたに、俺が死ぬとはこいつはたまらん」。
江戸時代の狂歌師 大田南畝の辞世の句です。
見方によっては、私たちはこの世に生まれ出た瞬間から死に向かって歩み始めているともいえるでしょう。
これを「諸行無常*」と表現しています。
※ 諸行無常(しょぎょうむじょう):
この現実の世界のあらゆる事物は、種々の直接的・間接的原因や条件によってつくりだされたもので、絶えず変化し続け、決して永遠のものではないということ。
お釈迦さまは、「いつまでも変わらない」ことにこだわりすぎる人々の心が「苦しみ」を生むひとつの原因であると説いています。
しかし、私たちは日頃この事実をどこまで実感しているのでしょうか。
自分の息が止まる瞬間をイメージして今を生きる。これはとても想像し難いことかも知れません。
しかしながら、そこから地に足が着いた生き方が見えて来るのかも知れません。
日蓮大聖人さまは、自身が病床にありながらも時光公が重病との知らせを聞き、治病の護符の作法を伝授、
あわせて自らの病魔を呵責し信心堅固にして病気を克服するように励まされました。
その結果、時光公の大病は全快し長寿されたのです。
自分自身の生涯、命に限りはありますがいかに生きるかが大切ではないでしょうか。
死ぬ間際、枕もとで「あれもすればよかった、これもすればよかった」と、後悔するよりは、
「自分の人生、生きててよかった」と思える生き方を心がけていきましょう。